結婚生活

性的結合が、夫婦の一体化の世界であるという美しい表現には、たしかにちっともいつわりは
ありません。けれども、この一体化の世界は、時間の点ではけっしてながくはないのです。夫婦
が性的結合によって、一体化を経験する時間の長さにくらべれば、性生活において夫婦が別様に
感ずる心理の世界の方が、はるかにながく、またはるかに大きいといえます。
われわれは今までのところ、夫婦としてこうした性の世界について、それぞれの感想を率直にのべ合う習慣をもっていませんでした。
もしすべての夫婦が、これを率直にのべ合う習慣をもったとしたら、
結婚生活はおそらく、いまとはかなりちがったものになるのではないかと思われます。
性生活において、夫婦が異った心理を体験するもっとも明白な証拠は、子供を生むということ
に関してこれを拳ることができます。妻は受胎し分娩したときに、
女性としての性(あるいは根本的な生)の満足をふかく体験します。ところが妻の受胎、
子供の出産について夫は少しも性(生)の満足を経験しません。
母となった妻は、女性としての生命の実現を感ずるでしょうが、父となった夫は、
このことについて生物的なよろこびをそれ程には経験しないでしょう。
いや極端にいえば、夫は父となったということについて、
いわば社会に対する肩書きといったものを自覚するにすぎないとさえいえるのではないでしょうか。
父性愛と母性愛の相違といったことをいまいっているのではありません。
妻が母となったときの心理と、夫が父となったときの心理との、むしろ根本的なちがいをいっているにすぎないのです。
あるいはこういってもいいでしょう。父と子との関係は概念的であり、母と子との関係は生物的である、と。

こういうふたりが、夫として、妻として、子供を仲にはさんで向いあっている心理の風景は、
まことに複雑で異様なものだと思われます。
夫婦間で問題が発生したら、このように解決までは精神的にも肉体的にも
大変ですので、相性ピッタリの結婚相手を見つけましょう。

出典:
012

One thought on “結婚生活

  1. これはコメントです。
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